介護者の気持ち
以前から「デイサービスは行きたくない」という方に対して、自宅でヘルパーによる入浴支援や看護師によるリハビリを行なってきた。
90歳を超えるその方は、たまにトイレの失敗をするため紙パンツを履いてこそいるものの、認知機能も勘違いや物忘れ程度でしっかりした方だった。
デイサービスについてはその昔、脳血管疾患で入院した際に、同じ病室の人からあまり良い話を聞いておらず、その印象が拭えずに利用はしていなかった。
しかし最近になり、生活に対する意欲の低下、食事量の低下などから、介護する家族のその方に対する【気になる部分】が増えてきた。
【気になる部分】はストレートにその方を指摘し、お互いの関係もこれまで以上に疲れるものとなっていた。
そんな時、家族の説得もあって一度デイサービスの体験を行うこととなった。
元々があまり良い印象のないデイサービスであったため、事業者選びには慎重になった。
体験が失敗したら、
「思った通り、楽しくもなんともない」
なんて、二度と家から出ない可能性もあったからだ。
結果は、
「こんな良いところ紹介してくれてありがとう」
だった。
家族もその方の表情の変わり様を見て驚いていた。
同年代の方との交流が、その方の生きる意欲を引き出したような感じだった。
家族からは、
「家族間の交流が少なかったかな…」
と反省の言葉が出たが、
家族に同年代の人と同じ交流なんて無理。
第三者がいるからできること。
介護する側される側は根本から立場が違う。
言葉に出さなくても、する側には心身の負担が伴うし、される側にも申し訳なさや遠慮が伴う。
まるっきり生活に無縁で、生活に影響のない人との交流でなければ。
そこは家族に負い目と感じて欲しくない。